kindleと猫と写真とか。

【読書記録】『ずうのめ人形』読んだ

色々思うところがあり、本…というか見た作品のレビューを増やすか…となっています。
私は基本的に「これめっちゃ良かった!!!」って本や映画…作品についてしか記事を書かないようにしていたんですが、これは別に親切じゃないんですよね。私と感覚が合うかどうかを判断するためには多くのレビューが必要なわけで。

そんな事を考えて、ちょっと書く基準を下げるというか。好悪問わず、何か思ったことは書いてみようかと考えています。
というか年300冊近く読んでるはずなのに、この記事数は寂しくないですか?

って前フリをした後に何なのですが『ずうのめ人形』は本当に良かった作品。

そもそも「比嘉姉妹シリーズ」の2作目なので、1作目「ぼぎわんが、来る」を読んでない人は読みましょう。 

 

 

 

どういう話?(未読向け)

オカルト雑誌の編集部でバイトしてる人が視点人物の藤間。
記事を依頼していたライターが連絡つかないので同僚?の岩田と確認へ。
ホラー小説の例にもれず、ライターは顔が傷まるけの両目くりだされーので死んでいましたとさ。めでたしめでたし。
何もめでたく無いのですが、その死体の横に一部焼け落ちた原稿が。明らかに怪しいこれを岩田は持って帰ってきて、挙げ句に読んでしまいました。犯罪やぞ。
原稿をそこそこかけて読み終えた彼は「この原稿はライターの死に関わっている。今すぐ読め」と急かすので、藤間もその原稿を読みます。

その原稿に書かれているのが「ずうのめ人形」って話。原稿を読んで以降、不思議な事象に襲われるようになった藤間は、前作「ぼぎわんが、来る」に出てきたオカルトライター(だっけ?)の野崎を通じて、比嘉姉妹の妹の方、比嘉真琴に助けを求めます。
すると原稿の中の登場人物が比嘉真琴の知る人物であることがわかり…。

というのがあらすじ。あらすじか?これ。
まぁ怖い要素はここじゃないんでいいでしょう。こっからめちゃくちゃ楽しいんだよ。

前作「ぼぎわんが、来る」もそうでしたが、今回も謎の心霊?「ずうのめ人形」の謎に迫っていきます。
前作の物語構成は起承転結の転が最高すぎたのですが、今作の物語構成も前作に勝るとも劣らない出来です。
起承の部分で転を納得させる伏線が丁寧に張られているからこそ、あの速度でひっくり返せるんでしょう。知らんけど。

今作の方が人間の怖さの割合が高い気がするので、そこら辺で前作の方が~今作の方が~って話が出るんじゃないですかね。

個人的に物語全体とラストの夢中にさせられた度は今作の方が高かったです。
今作は琴子さん出てこないのだけちょっと残念。

ここまで2作ともそうですが、純ホラーじゃないんですよね。
正体のわからない現象を紐どいていく所は寧ろミステリーに近いです。
ホラーの方向性も読み終わった後、鏡を見てビクッとする感じではなく、自分の人生を布団の中で振り返るタイプの、人間って怖いな…って感じの作品です。
直接害になっているのは心霊なんですが、その心霊は人間由来な事が多いんですよね。

 以降はネタバレ全開の感想文が始まるので、読んでない人は読んでから。
このシリーズは本当に読者を騙す構成が見事なので、是非知らないうちに読んで騙されて欲しい。ついでにリンクから買って欲しい。

 

 

 

 

 

感想(ネタバレ全開)

 目次で飛んできた人の為にもう一回書いておくけど、この作品は読者を騙す構成が素晴らしい作品だと思うので、是非何も知らずに読んで騙されて欲しい。

 ここまで言えば良いでしょう。
今作くらいだよ。ここまで書くのは。

 

良かったですね。特に原稿パートの出来がすごい。
ホラー自体は貞子とかなり近い構図でしたよね。ビデオ見て(原稿読んで)から7日で死んじゃう。
小説という媒体なので原稿を「読む」という行為と噛み合いすぎている…。

じゃあパクリやんけ!って言うとそうでもなくて、原稿パートと現代の調査パートを交互に回してくことで特徴が出ているのと、原稿と調査パートがぐるぐる回っていくことが罠なんですよね…。

原稿パートの視点人物「りぃちゃん」(だっけ)って「信用できない語り手」で有ることが後に判明するじゃないですか。
前作の秀樹枠。我々も前作を読んだ人間。まさか二度騙されることは…あったんですよ。現代調査パートっていう信用できそうな語り手が「信用できない語り手」の正しさを補強していくんだもの…。これが罠。めちゃくちゃすごくないですか?
「信用できない語り手」に「信用できそうな語り手」と読者を合わせて騙させるって。

ホラーとしてもミステリーとしても出来が良い。個人的にはミステリー色の方が今作強い気はしますけどね。ただ、ミステリーだけでは”解決”に至れないって辺りはやはりホラーというか、心霊物なんだなという気がします。

あと相変わらず、後味の悪い終わり方でしたね。あぁいう視点によってハッピーなのかバッドなのかが変わるのをメリーバッドエンドっていうのかな?何かちょっと違う気がする。けれどあぁいう終わり方好きなんですよね。
あれやっぱ地中から来るって事は52階までの住民全滅ですよね…。

比嘉姉妹の方は真琴ちゃんと野崎さんが結婚寸前な感じ。
美晴という姉妹が居たことが判明し、比嘉姉妹の過去が少し明らかになりましたね。
”比嘉姉妹”シリーズなので、これ以降どんどん情報が明かされていくんでしょうか。続きが気になりますね。実は最新作まで買ってあるのでいずれ読みましょう。

ところで比嘉琴子さんがピックアップされる回があったら、やっぱ国規模のハイパー霊障が起こったりするんですかね。いまいちイメージがつかないそれをどう描くのかも気になりますね。