kindleと猫と写真とか。

【本の話】『本屋さんのダイアナ』

 

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

 

  図書館でヒョイッと借りたんですが、当たりでした。児童書っぽい題材ではあるのですが、児童書では無いです…。子供に与えるかは後半まで読んでから判断したほうが良い。

 

主役は
母子家庭に生まれ”大穴”という名を背負った、所謂DQNネームな女の子、ダイアナ(日本人)と上流の家庭に生まれ、恵まれた環境で育つ彩子。

舞台は小学校から始まり、ダイアナは自分に無い両親や落ち着いた物腰、日用品を持つ彩子に。彩子はゲームを与えて一緒にプレイまでしてくれるダイアナの母親や、キラキラしたアイテムを持つダイアナに。お互い憧れを抱いています。
そんな彼女達は本を読書家という点で共通しており、特に『秘密の森のダイアナ』という本は共に大好きな作品です。この本がストーリーに絡んで色々してくんですね。

 そんな2人、彩子ちゃんが生理を迎え中学受験を意識しだす事をきっかけに段々とズレが生じ、小学校の終わり頃に絶交してしまいます。
そこからは2人それぞれの視点で世界は描かれていくわけですが、ここが実に世知辛い話…。特に大学生編は児童書に出来ない理由足り得る内容…。

大学に行った彩子ちゃんは、今まで純粋培養とでも言うべき環境からの差に戸惑い、身を崩してしまい。ダイアナは父親との再会や、特徴的な外見や名前も相まってバイトの面接にすら苦戦。

 それぞれに抱えた問題と向き合ったり逃げたりしながらも、絶交したはずのお互いが人生に関わっていく。そんなリアリティとフィクション特有の世界の狭さが上手く織り交ぜられた作品でした。

 

 単純な読み物としても面白いですし、自分に重なる部分を見出して自分の人生を振り返るのも良いでしょう。
今回は便宜上2人の主役のみを紹介しましたが、もう数人物語にしっかり関わってくる人が居ます。例えばダイアナのお母さん”ティアラ”(源氏名)とかですね。そういった人達も考えや行動が少しずつ明らかになっていきますし、感情移入の出来るキャラクターなので、幅広い立場から考える事のできる作品です。子育てって難しいな…。

多分また僕が歳をとって読み返した時に、別の事を考えるんだろうと思う作品でした。幅広い楽しみ方が出来る名著だと思います。
今年一発目に借りた本がこれで良かった。

本屋さんのダイアナ(新潮文庫)

本屋さんのダイアナ(新潮文庫)

 

 こっちがkindle版。読み返しそうだし買っておこうか悩んでいる。セールはよ。